秦氏千年の計20『狂狷』と『陽明学』

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 孔子こうしと云うのは、面白みの全く感じられない至極凡庸しごく ぼんような男です。

 その孔子こうしが書いたのだから、儒学じゅがくなど大したモノでは無いのですが、見るべきところも多少は有るでしょう。

 それが、狂狷きょうけん陽明学ようめいがくです。
 

 吉田松陰よしだ しょういんが弟子たちに「くるいたまえ」と教えたのは狂狷きょうけんゆえであったし、自らも狂狷きょうけん実践じっせんを弟子に見せ、徳川幕府により斬首ざんしゅしょされました。

 「狂狷きょうけん」とは、くるったごとかたいじって、物事に取り組まなければ何を成すことも出来ないと言う考え方で、

 この狂狷きょうけん吉田松陰よしだ しょういん松下村塾しょうかそんじゅくき、そして生徒たちは明治維新めいじいしんを成して行きます。
 

 もう一つは、陽明学ようめいがくです。

 陽明学ようめいがくとは、みん王朝時代の王 守仁 陽明おう しゅじん ようめいが、形骸化けいがいかしていた儒学じゅがく朱子学しゅしがくの道徳倫理を再生させ、学問にまで昇華しょうかさせた物です。

 その考え方は、

 「人々のためにならない政権は倒して良い」と言うもので、実践じっせんむねとし、『知行合一ちこうごういつ』・『致良知ちりょうち』をく物でした。
 

標題句解孔子家語ひょうだいくかい こうしけご 54/60
 

国立国会図書館デジタルコレクション
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 天保てんぽう7年(1836年)秋から、同8年(1837年)夏にかけて、二度目の「天保の大飢饉てんぽう  だいききん」が起きた際、各所で「百姓一揆ひゃくしょういっき」が多発します。
 

 幕府の直轄地ちょっかつちである天領てんりょう甲府こうふでは、米穀商べいこくしょうが米の買いしめめを行い、廻米かいまいとして江戸へ輸送すると、

 天保てんぽう7年(1836年)8月「百姓一揆ひゃくしょういっき天保騒動てんぽうそうどうが起きました。

 廻米かいまいとは本来、米価格の調節のための物でしたが、冷夏れいかから来る米の不作と、役人と米穀商べいこくしょう癒着ゆちゃくで、米の価格は高騰こうとうしてしまいます。
 

 これに対し、大坂東町奉行組与力おおざか ひがしまちぶぎょう くみよりきを引退した後に私塾を開いていた、陽明学ようめいがく信奉者しんぽうしゃ大塩平八郎おおしお へいはちろうは様々に知恵を絞り、

困窮こんきゅう者へ独自に義援金を支給しきゅうしている豪商ごうしょう、9代目 鴻池善右衛門こうのいけ ぜんえもんへ対し、

 「貧困ひんこんに苦しむ者たちに米を買い与えるため、自分と塾の門弟もんてい禄米ろくまい担保たんぽに金1万両を貸して欲しい」と持ちかけます。
 

 余談ですが、江戸時代まで「大阪おおさか」は「大坂おおざか」と、呼ばれていました。
 

 ですがこれを、大坂東町奉行おおざか ひがしまちぶぎょうであった跡部良弼あとべ よしすけはばまれると、

大塩平八郎おおしお へいはちろう天保てんぽう8年(1837年)2月に、自らの蔵書ぞうしょ5万冊など家財を売却して救済活動資金に当てました。

 しかし今度は、大坂東町奉行所おおざか ひがしまちぶぎょうしょに「売名行為ばいめいこうい」と揶揄やゆされます。
 

 大坂東町奉行おおざか ひがしまちぶぎょう跡部良弼あとべ よしすけは、天保の改革てんぽう  かいかくで知られる、老中ろうじゅう 水野忠邦みずの ただくに実弟じっていで、

徳川幕府へのご機嫌取きげんとりに、大坂おおざかや神戸の豪商ごうしょうから購入した米を、徳川家慶とくがわ いえよしの第12代将軍就任しゅうにんの儀式のため江戸へ強制的にまわし、

京から米を買いに来る者をとらえ、京の都は餓死者であふれたと言われます。
 

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秦氏千年の計21 大塩平八郎の乱おおしお へいはちろう  らん

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