秦氏千年の計24 徳川の儒学者活用法

 徳川幕府が滅んだのは、度重なる飢饉ききんから農業国としてはすでに破綻はたんしているのに、不安定な米本位制こめほんいせいを辞められず、

違法な形で行こなわれ続ける金融取引の武家無尽ぶけ むじんや、役人と商業者の癒着ゆちゃくを、裏経済のままにしていた処にあります。
 

 商業を合法化して表の経済にすることが出来ていたなら、

例えば商業者がどれだけ利益を上げているのか、今で言う「決算」が有ったなら、徳川幕府は生まれ変わることが出来たのかも知れません。

 しかしそれは、

 「商業者は何も産み出さず他人が作ったものを右から左へ流すだけで利益を得るからいやしい」とする儒学じゅがくを重用してきた徳川幕府には、出来ない相談でした。
 

 慶長けいちょう8年(1603年)に征夷大将軍せいいたいしょうぐんへ任じられ、徳川幕府を開いて以来、家康いえやすの目指して来たものは儒学じゅがくによる秩序ちつじょ造りだったのです。

 特に儒学じゅがくであった朱子学しゅしがく英才えいさい 林 羅山はやし らざん慶長けいちょう10年(1605年)、京都から連れて来ると、

翌年の慶長けいちょう11年(1606年)には、イエズス会の日本人修道士であったハビアン、当時41歳と地球論争ちきゅうろんそうを行なわせました。

 林 羅山はやし らざん、23歳の時のことです。
 

林 羅山はやし らざん


12歳で京都の建仁寺けんにんじで仏教を学ぶが、出家は拒否し、家で儒学じゅがくに親しみ『論語』『大学』『中庸』『孟子』の研究をしていた。

 
 ハビアンの母であるジョアンナは北政所きたのまんどころ、詰まり豊臣秀吉とよとみ ひでよしの妻 ねいねねの侍女で、彼は大徳寺だいとくじの禅僧となり臨済宗りんざいしゅうを学びますが、

 織田信長おだ のぶながが亡くなった「本能寺の変ほんのうじ  へん」の翌年、天正てんしょう11年(1583年)、京都で母と共にカトリックの洗礼を受け、大坂おおざかの神学校にてキリスト教を学び、

3年後にはイエズス会の修道士ハビアンとなりました。
 

 ハビアンは、当時カトリックで支持されていたコペルニクスの「地動説」と「地球球体説」を展開します。

 「地球球体説」はかつて織田信長おだ のぶながに面会したイエズス会の宣教師が「地球は球体だ」と地球儀ちきゅうぎを示すと、信長のぶながはこれを理解したと云われていますから、

 権力上はすでに終わった話しです、

しかし宗教上ではまだ終わっていませんでした。
 

 少なくとも家康いえやすは、宗教論争をえて、朱子学しゅしがく林 羅山はやし らざんもってイエズス会に挑んだ訳です。

 羅山らざんは「天動説」と「地球方形説」を主張し、ハビアンの「地動説」と「地球球体説」を論破ろんぱしたと伝わっておりますが、

勝敗は最初から朱子学しゅしがくの勝ちが決まっていた、出来できレースだったのかも知れません。

 ただ、その場にいた日本人に、

 「家康いえやすの連れて来た林 羅山はやし らざんが正しい、キリスト教の主張は間違いだ」と思わせれば良かったのでしょう。
 

 イエズス会としても、元 臨済宗りんざいしゅうの禅僧だったハビアンが改宗したと宣伝することで、

敵対していた同性愛主義の日本仏教に、一泡吹ひとあわふかすことができると考えたでしょうから、どっちもどっちですね。
 

 事実、同年にり行われたキリシタン大名の黒田如水くろだ じょすいの3回忌法要かいきほうようで、遺族や仏教の僧侶・キリスト教関係者らが参列する中、

 ハビアンに今度は「仏教批判」の説教をさせ、僧侶らはこれに激怒し徳川幕府に訴え出ています。

 フランチェスコ会の報告書には「大成功」の記述が有るそうですから、日本国内での宗教闘争は必然的に過激な方向へと展開して行きました。
 


 
 2年後、ハビアンは京都の女学校の修道女と駈落かけおちすると、

さらに4年後の慶長けいちょう17年(1612年)には、長崎でキリスト教徒の取り締まり側で徳川幕府に協力しています。
 

 2年の間にハビアンの中で何が起こったのか、知るよしも有りません。
 

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