「生類憐れみの令」で知られる５代将軍 綱吉の元禄時代は、江戸時代で一番の好景気で、
あの「主君の仇を討つために頑張っていた」とされている、
「忠臣蔵」で有名な赤穂浪士四十七士でさえ、流行りのお洒落な丁髷を結っていた程です。
しかし、その好景気も、将軍が６代目となり、儒学者が幅を利かせるようになると一変してしまいました。
儒学にとって「贅沢」は一つの犯罪です。
本来、「贅沢禁止」なる物は、持てる者がそれを引けらかすのを戒めた物で、
「そんなに余裕が有るなら寄付してくださ〜い」と言う、教団の経済運営的な都合に過ぎませんから、それを一般人に課すなど有り得ない事でした。
しかし、それをヤルのが徳川幕府です。
陰間茶屋
役の付かない若い陰子たちが陰間でパトロン探しをしていたのが始まり。
身に着ける物の色は「茶色・紺色・鼠色」のみ、素材は綿か麻、絹を着るなど以ての外の事で罰せられました。
これで何が起こったかと言うと、そうです消費の落ち込みです。
江戸時代は、５代将軍 綱吉の元禄時代まで経済成長して行き、
それ以降は田沼意次時代のプチ・バブルを除いてズーッと、長期の「デフレ＆少子化」でした。
この江戸幕府の経済に、止めを刺す一人の男が現れました、その男の名は水野忠邦。
彼の行った「天保の改革」とは、
① 寛政の改革（一般人の衣服や子供のオモチャを規制）の真似をして、幕府権力の強化を目指す
② 歌舞伎弾圧、歌舞伎の江戸三座を浅草へ強制移転。風紀を乱すとして陰間茶屋の禁止。役者が市中を歩く時に顔が見えないよう編笠を被らせる。江戸歌舞伎の代表である七代目 市川團十郎を江戸から追放する、八代目 市川團十郎はこれに切腹して抗議した
③ 娯楽規制、２１１軒あった落語などの寄席を１５軒に減らす
④ 出版統制で、人情本の為永春水は手鎖５０日の刑を受け深酒をするようになり２年後の５４歳で死亡した・合巻の柳亭種彦は譴責処分を受けその後間もなく６０歳で死亡した
⑤ 株仲間の解散、深刻な物価騰貴は、株仲間による商品の流通独占による物として解散させる。しかし実際には大坂（大阪）に物を必ず一回集めて統制してきた事によるコスト高が原因だった
⑥ 小判の金含有量を減らす貨幣改鋳を行った。そのため小判一枚の価値は下がったが金額としては変わらないため同じだけの金を集めようとするとどうしても金額が前より高くなってしまい物価高を誘発した
⑦ 旗本や御家人の借金を無利息・年賦払いで返済、債権放棄・債務繰延べさせ武家のみを救済する武士救済法令の棄捐令
⑧ 飢饉から田畑を捨てて都市部に流入する人々を、江戸の人口を減らし、農村の人口を増やすため、無宿人の帰村を強制する人返しの法
⑨ 三方領知替を行おうとするが、将軍の子供の縁組先を優遇する措置だったため、有力外様大名などが強く反発
⑩ 将軍や幕府の権威 再強化のため、巨額費用をかけ、６７年ぶりに将軍の日光社参、日光東照宮 参詣を挙行
⑪ 上知令を出し、江戸・大坂 周辺の大名や旗本の支配地を約５０万石を、徳川幕府の直轄地にした。しかし、諸大名や旗本から大ブーイングを受けたため実施できず
宮川町は、江戸時代に売色衆道専業の若衆茶屋（陰間茶屋）も集まった。
これで水野忠邦は失脚、１３年間続いた天保の改革も天保１４年（1843年）に失敗と終わり、徳川幕府の権威の衰えを露呈する事になります。
徳川幕府が大政奉還する慶応３年（1867年）まで、後２４年の出来事でした。
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