④ 九龍籠城(The Besieging Demonstrators in Kowloon)2

 「そう言われると、なおさら君が恋しくなるっ。オレはお前の足元にうずくまる可愛い猟犬だ。

 嗚呼、アイリーン。お前がブテばブツほどオレはその脚に戯れ付く。

 オレをスパニエルにして飼ってくれ! 蹴ってくれ、ムチで打ってくれ――――

 お前の中でこれほど卑しい立場があるか? でもオレにとってっは最高の身分だ。

 お前の吐く息が吸えるのなら愛玩犬のあつかいでいいと言っているッ!」
 

 ひざまずくゴドフリーの懇願に耳を貸さず、アイリーンは荷物をまとめた。

 「さっき言った事なら心配は要らない、君は僕らの仲間になるのだから。

 君の身体に埋め込むマイクロチップがちゃんと ❝わたしに触るな!❞ って言うから。何が起こっても――――」

 「マイクロチップ?」

 妻の興味を勝ち得たと思うや、ゴドフリー演説会の開催だ。

 「チップが欲しいかい? この身分証明を手に入れるためにはボクの推薦状が要るよ、書いて上げよう。

 怖がらなくて良いよ、迷子予防のペットに太い針で注射みたいに埋め込むのと同じだから、数分あれば完了だよ。」
 

 「ゴドフリー、貴方の事は人として好きなのだけど、わたしたちは垣根の内と外に居るの。

 人間を自分の奴隷にするなんて、わたしの信条では出来ません。」

 「彼ら一般人が何だって言うんだ? なんであんな連中の心配をする。

 君にとってどんな大切な事なんだ? 自分の人生を大事にしろよ。

 自らの地位にとっての最善を行うべきだろ? 残りの大多数どもが何だって言うんだ。

 何の意味もない! 彼らはただの愚民で我々に奉仕しているのさ。」
 

 「わたしはそんな風に考えられないは、それで一体なんになるの? 貴方は弁護士として社会的信用を持っている。成功して財産もあるのに、

 そんな事をして一体どんな値打ちがあると言うの? 何を最終的に目指しているの? 教えて――――」

 「最終目標は人類全部にマイクロチップを埋め込んで、社会全体を支配する事かな。

 金融投資家やグローバルエリートの国際資本家、知事なんか首長が、自由に世界を支配できるように。」

 「地方の首長?……」
 

 「そう首長だよ、知事とか市長とか。大統領や首相は国際的な枠組みで身動き取れないから。

 地方の首長ならそう言うのにとらわれないしネ、❝これは❞ と思う候補者を仲間に引き抜いて、我々に好都合な条例なんかを作らせる。

 反対派が居ても、メディアやSNSで差別主義者にでっち上げて、ヘイト条例とかおあつらえ向きだよ。

 外国人が投票できるような住民投票をヤラせれば、地方行政も簡単に乗取れるし、社会も分断できるし、

これで、安い賃金で働く移民をどんどん入れ込む。本当は奴隷制度だけど、❝移民を差別するな❞ で黙らせて告発もする。

 ボクがリクルートされたのはコレだね。

 社会に ❝リベラルは自由で良い❞ と思わせて、リベラルが実は言葉狩りをしたり[思想・信条の自由]と正反対だと、皆に気付かせないようにする。

 世界はすでに『言論統制』下に有るよ、実は今や[共産主義]になってるんだけど――――」

 夫は、アイリーンが興味を失ってないか心がけながら語り進めた。
 

 「君はウーマン・リブを知ってるだろ、女性解放運動だね。あれは当時のディープステートが全部のメディアに取り上げさせたんだよ。

 どうしてか知りたいかい? 主な狙いは2つ有る。

 一つ目は、人口の半分が女性なんだけど課税が出来なかったのを、彼女たちが働くようになって税金が取れるようになった。

 もう一つは〜 これが一番かな。

 母親が仕事へ出て子供は早くから学校に通う。だから子供たちを家庭から引き離して、考え方を好きなように出来るんだ。

 地方の首長が命じた教師や職員が、子供の家族になった。
 

 子供に親の影響をあたえないのが、ウーマン・リブの主な目的だよ。

 スターリンも毛沢東も、ポル・ポトもやってただろ子供と親の分断。あれは下手だったけどな〜〜」
 

 「だから共産主義……」

 「そうだね。親を密告させたり処刑すると反動が出るしネ、もっと上手くゆっくりヤラないと。

 学校で ❝生物学的な性差を否定する❞ とかさ、

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