「少年! 窓開けてみるかい、そこのハンドルを回すんだ。珍しいだろ、」
のどかに車道を牛が歩く当たり前の風景も、ドライブに楽しげなツァムジュ少年へ、パラミタ女氏が声をかけた。
「うん、見たことないです。」
「中古車でも手回しハンドルは、もう見ないからねェ、
ギアチェンジが手動式なんて車はさ、アプリケーション導入以前の技術で、エンジンのクランクとカムが制御してるから、
核戦争で世界中の電子機器が使えなくなっても、この車は走ってる。あたしはねこう云うのが好きなんだよ。」
様々な学校を通り過ぎ、いくつもの橋を渡り、サフラン畑の広がるインド最長の国道44号線を、ジェルム川と共に北上すれば、
ジャンムー・カシミール連邦直轄領の夏季の主都は、湖畔の麗しきシュリーナガルを回遊して征く。
シュリーナガル レー ハイウェイから、シュリーナガル ラダックロードを更に東へ進むと、もう少しでラダックの中心都市レーへ到着する。
「先生〜 途中の積雪で21時間かかっちまった。」
「いやいや、貴方でなければレーにまだ到着していない、楽しかったよパラミタさん。」
長くも名残おしきラダックまでの旅は終わり、ここからはチャイナとの国境線を目指す。
ツァムジュ少年僧にとっても、故郷からダラムシャーラーまで以来の道程であった。
「面白かったかい、」
「ヤーダヴさん、ありがとう。」
「パラミタで良いよ。ジュレー、ツァムジュ!」
「丁度ですよパラミタさん。あそこの観光ホテルで、御坊さんと23時に待ち合わせです。」
ヤンゾム氏が指し示すホテルへ着くと、一人のチベット僧の格好をした男性が待っていた。
彼はダルそうに椅子へ腰掛け、仕切りに頭の左側を、手の平の付け根で叩かずには居られぬようにしていたが、こちらを見やり、
表情を引き締め、シャーロックに歩み寄る。
ロンドンの標高は24メートルである。インドの首都ニューデリーの標高は216メートル。
チベット亡命政府が在るダラムシャーラーの標高が1,457メートル。
レーの標高は3,500メートルあり、標高2,500メートル以上の高地では人によって高山病になることがある。
この見かけぬ若い男は、その症状の一つ頭痛に苦しんでいるようだ。
ニューデリーなどにも多くのチベット僧が存するから、可能性として低地に長く住むその一人であろう。
During Ladakh trip, we spent the first two days in a hostel & nearby places in Leh to acclimatize with the low oxygen level.
To acclimatize, we need to follow- avoid sleeping in a day time, drink lots of water, not to do extreme activities like exercise, avoid overeating, etc pic.twitter.com/WAnZ7OHSa2— Stamped Moments (@StampedMoments) August 16, 2024
「シャーロック・ホームズ先生お待ちしていました、私はニューデリーから来たパキャーと申しますチベット僧です。
ダラムシャーラーのタルマー師からの紹介状です。」
そう言いながら一枚の紙を取り出し見せた。
タルマー師とは、ダラムシャーラーで長年仏法に仕える尼僧のことである。ヤンゾム氏はそれを見ながら、
「タルマー師から、お話しはうかがっております。ラダックを案内してくださるそうですが、お詳しいんですか?」との問に、パキャー僧侶は、
「いえ…… 以前、住んでいたこともありまして……」
「そうですか。」と応対している間にも、特殊国境部隊 SFFからチベット兵が合流、
簡単に挨拶を交わし、着々とガルワン渓谷への移動が準備されてゆく。
「お休みにはならないんですか?!」
パキャー僧侶が驚いたように問うので、シャーロック・ホームズは、
「僕たちは急いでいるんでね。
貴方はどうぞ、こちらでお休みください。」
と返事だけを残し、若い僧侶を置いたまま再び車へ乗り込み出発した。
呆気にとられ見送るパキャー僧侶はトイレへ走り、携帯端末を取り出すと急いで通信アプリで文章を制作し始める、
だがその文章は投稿されることは無い、
彼が操作しないにも関わらず、文字は何者かにより消されアプリは閉じられたのだ。
2008年の北京夏季オリンピックに合わせ、各国で開催のトーチリレーは、
「Free Tibet(チベットを解放せよ)」の社会運動を世界中で巻き起こす。
これに恐怖した中国共産党は、工作活動に力を注ぐ。
D. One of the local MSS source along Quig Shi was Charlie Peng a bigger fish, Quig Shi interacted with Peng for hawala transactions through series of shell entities, he was caught with two Aadhar cards, two Indian passports, fake PAN card & working with 🇨🇳 embassy. continued > pic.twitter.com/E0WDxxWLvW
— 𝐊𝐔𝐍𝐀𝐋 𝐁𝐈𝐒𝐖𝐀𝐒 (@Kunal_Biswas707) August 28, 2024
2014年、ネパールからインドへ潜入したチャイニーズ・スパイの男、仮称 ❝ルオ❞ は、インド人女性と結婚。
ニューデリーに居を構えたルオは、複数の銀行口座でチャイナ企業と架空の取引を発注し、
この資金洗浄の金を用いて、スパイになる者を誘い込み、ダライ・ラマ法王の周辺で工作活動を行わせる。
ヤンゾム氏がパキャー僧侶について話すには。
「タルマー師とは、会ったことあるみたいですよ、ハンサムなので覚えていたそうですけど、
何故とつぜん連絡して来たのか分からないと、おっしゃってました。」
これを受け、パラミタ女氏が。
「あの坊さんを連れて来なかったのは、正解だったと思うね。
チャイニーズが不法入国して、心を買収された者が、スパイになっちまう。金が無いのは辛いことだから……
警察に居た頃、❝注意しろよっ❞ て、良く言われたもんさ。
ダラムシャーラー周辺のスパイは、2018年までに取り締まったけど裁判所で釈放されて、まだ居るからねぇニューデリーとか……」
パラミタ女氏は元警察務めだけあって、チベット亡命政府周辺のスパイ事情に詳しいらしい。
ガルワンに到着するとさっそく簡単なテントを張り、車中泊組みとに別れて明け方の作戦行動へ備え、休むことにした。
新世界秩序⑤ ガルワン攻防(Galwan attack and defence)3
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