If they'd wanted to have a guy shoot a really quiet gun in an old timey setting then they should have used an old timey air gun which are rad as hell and as steampunk as you can possibly get without having a gun that shoots gears or brass rivets. pic.twitter.com/7HwWNhtg2P
— Sea Specialist (@Road_Buster84) July 20, 2022
「パチッ、」と音がして後ろの岩から土煙が微かに上がった。シャーロック・ホームズの頭をかすめ狙撃弾がそうさせたのだ。
チベット兵が手で相図し合うと、チベタンが持つ革のベルトがビュンと宙を舞う。
「ワッ!……」呻き声が聴こえた。
チベット兵の放つ飛礫が遠望の、モラン大佐が連れて来たドローンを操縦するボサボサ髪の1人を倒す。
「ドローンがヤラれた! これ以上は無理だ、ココを離れますよ弁護士さん。」
モラン大佐は足手まといのゴドフリー・ノートン弁護士を無理にでも下山させねば、次に狩られるのは自分たちだ。
「アイリーンがそこに居るんだぞ、何を言ってるんだ!―――― あっ……」
再び放たれる飛礫が、ゴドフリー・ノートンの頭から血煙を立たせたかと思うと、足を踏み外し中国共産軍がいる側へと落ちて行く。
「まいったな、拾いに行かにゃ。」
モラン大佐はゴドフリー・ノートンの姿を追い素早く移動した、いずれ中国共産軍兵士もこの騒ぎを嗅ぎ当てるだろう。
シャーロックが気付くとチベット兵たちは、すでに視界から消えていた。
「私たちも散開しましょう、」そう言うヤンゾム女氏はと見れば、もう飛び跳ね飛び跳ね下山して行く。
「高地でのチベタンを、常人であるとは言えまい……」
シャーロック・ホームズもまた、自らの得意を活かす行動を開始するのだ。
けれども、ヤンゾム女氏たちが車へ戻った時には有ろうことか、ツァムジュ少年僧と運転手のパラミタ女氏の2人は、自動車ごと消え失せていた。
ゴドフリー・ノートン弁護士を肩に担いだモラン大佐だったが、ガルワン渓谷の斜面を下るのは骨が折れる。
そこへだいぶ遅れて髪をボサボサにした男が、ドローンの操縦機を持ったままヨタヨタしながら追い付いて来た。
「オイ、この男を運ぶの手伝ってくれ。そんな物はそこに置いてけば良い。」
モラン大佐は、気を失ったノートン弁護士の後ろから両脇に腕を固辞入れると、両足を抱えるよう促す。
見張りをしている中国共産軍兵士の数名は、見慣れぬ2人の男が1人のぐったりした者を運びながら、
中国共産軍の拠点の方へ、えっちらおっちらやって来るのを見付けると、
男たちへ近付きながら何やら話し合っている様子であったが、その中の下士官らしき1名が英語で話しかけて来た。
「ここは貴方たちが来るところでは無い、向こうへ行きなさい。」
「見ての通り負傷者が居る、休ませて欲しい。」そう、モラン大佐が言うと、
「身分証明が出来る物は有るか?」と下士官が聞くので、
「そんな物は無い、私は元イギリス陸軍大佐だが君らの味方だ。」
モラン大佐のこの言葉に驚き、身構える中国共産軍下士官。
これを見てボサボサ髪の男が、慌てた様子で割って入る。
「いやいや、そんな言い方しちゃ駄目ですよ〜 私たちが貴方がたの味方なのは間違い有りません、今チベット兵とヤリ合って来たばかりです。」
これを聞くと下士官は少し驚き顔で、
「なぜ貴方たちがチベット兵と戦闘になるのか?!」
「そりゃぁ、わたしたちがシャーロック・ホームズと戦っているからです。」
怪訝な表情を見せる中国共産軍下士官。
「確かめて下さいませんか? 上官の方ならシャーロック・ホームズが、チベット亡命政府に召喚されてると、ご存知でしょうから〜」
「そんなことは出来ない!」
下士官はそう言ったが1人を呼び何やら告げると、その兵士がモラン大佐たち3名をテント内へ案内してくれる。
「これは人道上の、あくまでも人道的措置だ。」と下士官は言い残し去って行った。
2人でゴドフリー・ノートン弁護士を長椅子に寝せ終わると、モラン大佐が口を開く。
「喋りが達者じゃないか、名前は?」
「名前はいくつか使ってるんですが、トビイとか、カルロとか…… 今回はロイとお呼びください。ロイ・ウィリアムです。」
ボサボサ髪の男はそう答え、彼はロイ・ウィリアムになったのである。
そこへ先程の下士官と一緒に、慌てた風で入って来たその上官と思しきが兵士が語りだす。
「いや、先程は失礼致しました! 実はモラン大佐とお話ししたいと、パーカー氏がお電話でお待ちでして、コチラです。」
「ああ、ありがとう。」大佐は態度が大きくなり、衛星電話端末を受け取ると何やらやり取りしていたが、方針は決まったようだ。
それによれば、合流拠点をチベット亡命政府に協力するインド国側に設けるより、
中国共産軍が開いたここより奥の拠点に移動すれば、テント2基と小さな監視台まで設置していて、
自分たちにとって好都合だから、モラン大佐と首締め強盗のパーカーでそう決めた。
加えて、誘拐した2人をホームズたちの人質に連れてくる。と云う内容だ――――
ボサボサ髪のロイは少し驚いたが、すぐに思考を巡らせテントから出ると、
丘向こうからコチラ側、中国共産軍を探っているであろう特殊国境部隊 SFFのチベット兵へ向かい、奇妙な体操を披露した。
これに気付いたモラン大佐も笑って見ている程それは滑稽なモノで、頭を使って逆立ちをするなど子供のイタズラにもお遊戯にも見える。
新世界秩序⑤ ガルワン攻防(Galwan attack and defence)5
新世界秩序⑤ ガルワン攻防(Galwan attack and defence)3
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