美輪明宏の映画『黒蜥蜴』がDVD化されない謎 Black Lizard 1968

 サイケデリックが当時の雰囲気を匂わせる、美輪明宏 主演、昭和43年(1968年)、松竹版『黒蜥蜴くろとかげ』のオープニング。

いわゆる「急に歌うよ」も先に製作された、京マチ子の大映版と共通した時代の流行りだった。
いや、こちらは歌に合わせて京マチ子がダンスを披露するので、ミュージカル仕立てとした方が正しかろう。

 江戸川乱歩の小説『黒蜥蜴くろとかげ』を、三島由紀夫が戯曲ぎきょく化するに当たり、
原作の道徳を廃する耽美たんび的で退廃たいはい的な様相と、ライバル 明智小五郎への愛憎入り交じる黒蜥蜴の激情を前へと押出し。

自暴自棄の青年と、さらわれた令嬢との間に湧き上がる恋愛感情。登場人物の簡略化。
東京から大阪へ舞台が移るのを、逆に大阪から東京へと変更されている。

 三島由紀夫の戯曲『黒蜥蜴くろとかげ』は、昭和37年(1962年)、東京・サンケイホールの初代・水谷八重子、芥川比呂志が初演で。

昭和43年(1968年)、二度目の舞台化となる松竹+東急提携15周年記念 名作特別公演 と銘打ち、初めて美輪明宏(当時:丸山明宏)が黒蜥蜴に扮し、当り役を博す。東京・東横劇場、東京・歌舞伎座(アンコール公演)。さらに、名古屋・御園座、京都・南座で公演された。

この時の明智小五郎 役が天知茂であり、後に昭和52年(1977年)、松竹製作のテレビ番組『江戸川乱歩の美女シリーズ』へつながって行く。

 クエンティン・タランティーノ監督はこの黒蜥蜴を『キル・ビル Vol.1』で、悪党たちを牛耳ぎゅうじるオーレン石井のモデルにしたと云う。

 昭和37年(1962年)、京マチ子 主演により大映だいえいで映画化され。こちらはDVDがある。

続く昭和43(1968年)、三島の申し出により、美輪明宏を主演「女賊・黒蜥蜴」にむかえた松竹版『黒蜥蜴』は、美輪明宏 自身が東映ヤクザ映画で名を馳せる監督 深作欣二を指名して製作された。
なのだが、なぜかDVD化されていない。

 
 いまや『孤島ことうの鬼・パノラマ島奇談とう きたん』を原作とし、上映不能の幻の作品とまで云わしめた昭和44年(1969年)、吉田輝雄 主演、石井輝男 監督の東映映画『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』が正規DVD化されている。

こちらは内容に難しい部分がある物の、様は土方巽ひじかた たつみの「暗黒舞踏あんこく ぶとう」なのだ。
暗黒舞踏は、欧米の騎馬的な飛び跳ねるダンスではなく、日本的・アジア的・環太平洋的な農業や漁業の「む」ダンス表現を元として、無垢むくを現す白塗りと母の胎内の暗黒の中で生きる胎児を表現した。
しかし欧米のダンスを見慣れ暗黒舞踏を知らない者からすれば、奇異きいに見えるのかも知れない。

 かつて三鷹の名画座「三島由紀夫 大会3本立て」で観る機会があった、三島由紀夫 主演『からっ風野郎』。三島由紀夫 作『金閣寺』を、市川雷蔵 主演、市川崑 監督で映画化した『炎上』。

そして、ビアズリーの描くワイルド作『サロメ』をクロスへ貼り、三島由紀夫の懇願こんがんから美輪明宏との接吻シーンが出来たと伝えられる、松竹版『黒蜥蜴』である。

 深作欣二 氏が逝かれた際に多くの監督作品がDVD化となり「すわ黒蜥蜴もと」噂され、今回も探したのだけれど見付からない。
なぜDVD化されないのか謎ではあるが、かつて深夜に地上波で放送された事もあり、いずれは皆様にお目もじ叶う日もあるでしょう。謎は謎のままに、

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NATOだけは憶えた物です『エロイカより愛をこめて』で
 
お勢登場より 2
 
いつもありがとうございますm(_ _)m
                  
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