「なぜ物語でいつも年長者が損をするのか?」それは、『長靴をはいた猫』を見れば分かるだろう。
粉挽き職人が亡くなって3人の息子に残された財産は、年長者に粉挽き小屋。次男にロバ。そして一番年若い弟には一匹の猫が相続された。
年若い弟は、猫一匹で何をしろと言うのだろうか?
また、シェイクスピアの戯曲「リア王」の元ネタとなる『ブリタニア列王史』の物語でも、
最も年若い娘コルデリアは、ブリタニアの王であるレイアのお気に入りであったが、
高齢のため領地を三人の娘たちに分けようとしたレイア王は、結局コルデリアをフランク王へ嫁がせ、
二人の上の娘へ領地は分割された。
このように、実子のハズでも一番年若い妹・弟が冷遇されてしまうのが、人類共通で現実ではよく有ったのであろう。
そのため物語性を考えると、妹や弟が活躍する、本当の事を逆転させたお話しの方が面白く思われ、受け入れられたのかも知れない。
それで起こったのが、世界共通の「年長者が損をする」物語だったと考えられる。
そして実際に、姉妹兄弟の権力闘争も歴史的な事実なのだ。
ムスリムの結婚式
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とはいえ、日本で有名な「海幸山幸」の神話で、
『古事記・日本書紀』の兄弟関係が、時代がたつにつれ、兄の役割が弟へ。
弟の役割が兄へと、逆になる変容が見られるのだ。
「海幸山幸」の伝説で、良く対比されるのは『創世記』の双子の弟ヤコブの物語である。
ヤコブは、兄エサウと一度は仲違いするが和解し、息子たちは「イスラエル十二部族」の祖となった。
しかし『創世記』で、兄弟の役割が入れ替わる事など、果たして起こり得るだろうか!?
それが日本では起こっているのだ、
これは『儒教』が日本へ入ってきて、影響を及ぼしたからに他ならない。
兄弟関係が逆に成っているのを見れば、いつ頃からこの呪いが日本へ作用したのかが分かる。
『儒教』が社会を汚染した時の、
「世界へ逆行する特殊な思想性」
の事も、私たちは考えて置かなければならないだろう。
年長者は計画をたて、プラン通りに事を運ぼうとするが、
末っ子は「いきあたりばったり」で結果オーライ、常に自分は愛されていると思い込む。
エルサが、アナの早すぎる結婚の決断に反対するのは当然だし、
無鉄砲とも思えるアナの行動が、エルサの感情を揺り動かし、本当の彼女の力「真実の愛」を目覚めさせた。
お互いに補い合えるなら、これ程たのもしいパートナーは居ないのであろう。
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