秦氏千年の計23 朝廷 vs 徳川幕府

 これまでも「尊号一件そんごういっけん」など、

 徳川時代よりも以前の伝統でんとう古例これい遵守じゅんしゅしようとする光格こうかく天皇と、

 儒学じゅがく朱子学しゅしがく理屈りくつを正当とする徳川幕府の老中ろうじゅう 松平定信まつだいら さだのぶとの間で、学問論争へ発展する事も有りました。
 

 大政委任論たいせい いにんろんは、徳川幕府が国内外の政治支配の正当化のため主張した理論で、

 「将軍は天皇より大政たいせい(国の運営)を委任され日本国を統治している。」とする物です。

 これを建前にする徳川幕府は、日本の歴史上初めて朝廷を「禁中並公家諸法度きんちゅうならびに くげしょはっと」で規制きせいし、強硬きょうこうな姿勢をとって来ました。
 

 それが今回の大塩平八郎の乱おおしお へいはちろう  らん以後いごでは、

大坂おおざかが京の都に近いことから、天保てんぽう8年(西暦1837年)2月25日、京都所司代きょうとしょしだいより朝廷へ事件の報告が行われ、

 朝廷からの命令で、幕府の費用を使って徳川の定めた各神社による豊作祈願ほうさくきがんを行うこととなります。
 

 朝廷の命令をそのまま受け入れるなど、それまでの徳川幕府では考えられない事でした。

 これは、幕府の権威が下落げらくし、傲慢ごうまんだった徳川による朝廷支配の終焉しゅうえん予兆よちょうと、見ることが出来るでしょう。
 

 そして「人々のためにならない政権は倒して良い」と言う陽明学ようめいがくの考え方を実践じっせんして見せた大塩平八郎おおしお へいはちろうの志は、

吉田松陰よしだ しょういんそして西郷隆盛さいごう たかもりへ、脈々と受け継がれて行きました。
 

「ええじゃないか」にきょうずる人々
絵暦貼込帳えごよみはりこみちょう 65/68
 

国立国会図書館オンライン
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 これまでは、度重なる飢饉ききんから起こる「百姓一揆ひゃくしょういっき」だった物が、

隠し切れない幕閣ばっかく御用商人ごようしょうにんたちの腐敗ふはいなどから、政治的な意味合いを持つ世直し一揆よなお  いっきへと進化を遂げます。
 

 幕末の日本は、大飢饉だいききんにより農業が破綻はたんした農村から街へ流入する無宿むしゅくの者たちによる、凶悪な犯罪や、

黒船の来航、きんの海外流出から来るインフレーション、虎狼狸ころうり(コレラ)の流行などの政情不安せいじょうふあんを、

強烈きょうれつ封建制度ほうけんせいどの中で、庶民がストレス解消する方法として、もう一つの流れが有りました。
 

 一目ひとめ見ただけでは政治とは何ら関係の無い、

天照大御神あまてらす おおみかみまつられる伊勢神宮いせ じんぐうへの参拝さんぱい御蔭参おかげまいり」と、「御札降おふだふり」そして、「ええじゃないか」です。
 

 伊勢神宮いせ じんぐうへの参拝さんぱいは「誰もが死ぬまでに一度は行きたい」江戸時代最大のイベントにし、一大観光事業であり、

人間社会を上下関係で支配する封建制度ほうけんせいどにあって、奉公人ほうこうにんが主人に、子供が親に、目上の者に無断で参詣さんけいしても許された「まいり」など、

日常から脱出できる、避難所ひなんじょ的性質も持ち合わせる物で、
 

 世直よなおし」とは言えない民衆たちは、

贅沢禁止の徳川時代にひそかな反逆はんぎゃくとして晴れ着は ぎを身に着け「ええじゃないか」を囃子はやしたて、街から街へ熱狂しながら踊り巡りました。
 

 慶長けいちょう8年(西暦1603年)より始まった徳川幕府の200年間に及ぶ支配体制は制度疲労せいど ひろうを起こし、

天保てんぽう8年(1837年)大塩平八郎の乱おおしお へいはちろう  らんによってそれは顕在化けんざいかします。
 

 第15代将軍 徳川慶喜とくがわ よしのぶ大政奉還たいせいほうかんを行った、慶応4年・明治元年(西暦1868年)の江戸開城かいじょうまで、あと31年の事件でした。
 

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